NPOブックスタート Bookstart Japan

自治体の方へ

ブックスタート®とは
BOOKSTART

あたたかい絵本のひとときを、すべての赤ちゃんに。
ブックスタート®は、0歳児健診などの機会に、絵本をひらく楽しい「体験」と「絵本」をセットでプレゼントする活動です。赤ちゃんの幸せを願い、行政と市民が協働する自治体の事業として、全国で行われています。

ブックスタートの役割

「すべての赤ちゃん」とその保護者が対象です

ブックスタートの対象となるのは、事業を行う自治体に生まれた、「すべての赤ちゃん」とその保護者です。絵本に関心がある方にもない方にも、外国人親子にも、障害のある方にも、第一子にも末っ子にも。地域に暮らすすべての赤ちゃんと保護者に、絵本で心ふれあうひとときを届けることが、ブックスタートの役割です。

「赤ちゃんの幸せ」のための役割

ブックスタートには、事業として、いくつもの役割があります。
例えば、絵本を通じた親子の絆づくりや0歳児健診の満足度の向上といった「母子保健」としての役割。事業に携わる保健師・図書館員・市民ボランティアなど、子育てを応援する地域の人と親子をつなぐ「子育て支援」の役割。本に親しむきっかけや図書館の情報を、親子に直接届ける「読書支援」としての役割。地域に子育てをあたたかく見守る人を増やし、市民のまちへの愛着を深める「まちづくり」の役割などです。「赤ちゃんの幸せ」という共通の願いを軸に、さまざまな分野でブックスタートの可能性が見出されています。

ブックスタート・パック

お渡しする「ブックスタート・パック」

会場でお渡しするのは、絵本と子育てに関する地域の資料などを組み合わせた、ブックスタート・パックです。「絵本」は必ず入りますが、そのタイトルや冊数、資料やバッグの有無など、内容は自治体ごとに異なります。

※ブックスタート・パックの一例

ブックスタートのあゆみ

1992年 イギリスで開始 ~赤ちゃんとの絵本の時間はシェアブックス~

日本の活動を視察するウェンディ・クーリングさん(2016年)

ブックスタートは、1992年、イギリスのバーミンガム市で始まりました。
発案したのは、絵本コンサルタントをしていたウェンディ・クーリングさん。ある日のPrimary School(小学校)での活動中に、絵本の存在自体を知らない5歳の男の子と出会ったことが、ブックスタート誕生のきっかけでした。この予想外の出来事を受け止めたウェンディさんは、すべての子どもたちに、絵本を読んでもらうしあわせなひとときを経験してほしい、そのためには何ができるだろうと、考え続けました。
そして、絵本そのものを、読みきかせの体験と一緒に、赤ちゃん全員にプレゼントするアイデアを思いつきました。プレゼントの会場は、このアイデアを聞いた保健師の助言を受け、地域に住む赤ちゃん全員が対象となる「健診」にすることを決定。こうして「ブックスタート」は市の事業として始まったのです。
事業のキャッチフレーズ(当時)は、“ Share books with your baby! ”。赤ちゃんにとっての絵本は、読む(read books)ものではなく、読み手と共に楽しむ(share books)ものだというコンセプトは、多くの人の共感を呼び、活動はイギリス全土に広がりました。

2000年 「子ども読書年」に日本で試験実施

試験実施の様子(2000年 東京都杉並区)

日本でブックスタートが知られるようになったのは、2000年「子ども読書年」のときです。この年、子ども読書年推進会議(子どもの読書に関わる約280の団体・企業・個人で構成されていた組織)の会合でイギリスの活動が紹介され、同推進会議内にブックスタート室が発足。約200組の親子を対象に試験実施を行いました。その様子がさまざまなメディアで紹介され全国に情報が届くと、いくつかの自治体が具体的な検討をはじめ、2001年4月、12市町村が新規事業としてブックスタートを開始。その後草の根的に、全国に広がっていきました。

世界での広がり

イギリスで生まれたブックスタートのアイデアは、赤ちゃんに絵本を贈る活動(Bookgifting Program)として、多くの国や地域に広がりました。
事業の名称や実施方法はさまざまですが、2018年には「Global Network for Early Years Bookgifting」という世界的なネットワークが発足。オンライン会議やEURead* のウェブサイトを通じて、活動に取り組む国や地域どうしの情報共有が進んでいます。 日本からも当NPOが参加しています。
* ヨーロッパ各国の読書推進に関わる団体の共同事業体

Global Network for Early Years Bookgifting(外部リンク・英語)

大切な5つのポイント

「ブックスタートの大切な5つのポイント」 は、活動への理解を深めることを目指し、イギリスから引き継いだ活動の理念と、日本各地の実践のなかで大切にされてきたことをまとめたものです。事業を行う全国の自治体で共有されています。

  • 赤ちゃんと保護者が、絵本を介して
    心ふれあうひとときを持つきっかけをつくります

    絵本は、赤ちゃんに優しく語りかけ一緒に過ごす時間を、ごく自然に作り出します。赤ちゃんにとって絵本は、読む(read books)ものではなく、読み手と共に楽しむ(share books)ものなのです。 
    ※ブックスタートは、早期教育の活動ではありません。

  • 事業を行う市区町村に生まれた、すべての赤ちゃんとその保護者です

    保護者のなかには、絵本に関心がある方も、そうでない方もいます。ブックスタートは、赤ちゃんの生まれた環境にかかわらず、全員が対象です。実施月齢はおよそ3か月~18か月で、自治体により異なります。

  • すべての赤ちゃんと出会える、0歳児の集団健診などで行われます

    多くの自治体では、受診率が高い0歳児の集団健診でブックスタートを実施しています。 他の保健事業や子育て支援事業、図書館事業の機会に実施する自治体もあります。

  • 絵本をひらく楽しい体験と一緒に
    あたたかなメッセージを伝え、絵本を手渡します

    絵本をただ配るのではなく、ひと組ずつの赤ちゃんと保護者に、絵本をひらく時間の楽しさをその場で体験してもらいます。実際の体験と、絵本そのもののプレゼントは、家庭でも親子が絵本をひらく何よりのきっかけになります。

  • 市区町村の事業として、さまざまな分野の人たちが連携して実施します

    図書館・保健センター・子育て支援課・市民ボランティアなどさまざまな分野の人たちが連携して事業を進めることが、活動の充実や継続につながっています。※ブックスタートは、特定の個人や団体の宣伝・営利・政治活動が目的ではありません。

出版物

ブックスタートをより深く知るための書籍を出版しています。

ブックスタートをより深く知るための書籍