NPOブックスタート Bookstart Japan

自治体の方へ

家庭科の教科書に「ブックスタート」が掲載されました!

子どもたちの学びに欠かせない教科書。
新しい学習指導要領に合わせて改訂が進み、2022年4月から使用される高等学校の教科書(*1)には、なんとブックスタートが登場します。

掲載されたのは、家庭科「子どもの保育」の章。
発達や遊び、生活、大人の役割などを学ぶ内容です。

なぜ、ブックスタートが教科書で紹介されたのでしょうか。

対象が「すべての親子」である意味とは?

掲載されたページをひらいてみると、ブックスタートは「サステナビリティ」に関する取り組みとして紹介されています。

「サステナビリティ(sustainability)」は、「持続可能性」を意味する言葉。
新しく改訂された学習指導要領で、前文に「持続可能な社会の創り手を育成する」という理念が示されたことや、SDGs(*2)参画への世界的な動きを受け、家庭科の教科書にもコーナーができました。
世代を越えて、すべての人が自分らしく幸せに生きられる社会をつくっていくために、取り組まれている活動などを紹介しています。

そして、SDGsとブックスタートの関連として、

目標4 質の高い教育をみんなに
目標10 人や国の不平等をなくそう

の2つが挙げられています。

教育課程の改訂と、世界的な取り組みの流れの中で、ブックスタートが注目されているといえそうです。

さらに、同じページの「調べてみよう」というコーナーを読んでみると、こんな問いが書かれていました。

「自治体のブックスタート事業の対象が ‟ すべての赤ちゃんとその保護者 ” であることの意味を話し合ってみよう」

ブックスタートは、地域に生まれたすべての赤ちゃんとその保護者に、絵本をひらく楽しい「体験」と「絵本」をセットでプレゼントする活動です。
保護者の中には、絵本に関心がある人も、そうでない人もいます。また、障害のある赤ちゃんや保護者、日本語以外を母語とする親子、ひとり親家庭なども含まれます。
コロナ禍の今、これまで以上に不安を抱えながら子育てをする保護者が増えているという調査結果(*3)も。

このように、事業の対象となる親子の中には、支援を必要としている人がいるのです。

そうした親子に、行政職員・市民ボランティアによる「読みきかせ」や「対話」を介して、絵本を手渡すブックスタート。
この活動の形により生まれるのは、「人と人とのつながり」ではないでしょうか。
すべての親子が、地域の人とつながるきっかけをつくる。ブックスタートは、そんな機会にもなっています。

SDGsのキーワードとして掲げられている、「誰ひとり取り残さない」という言葉。
生徒の皆さんにとって、ブックスタートを知ることが、誰ひとり取り残さない社会について考えるきっかけになるかもしれません。

 

*1 『Survive!! 高等学校 家庭基礎』(教育図書株式会社/令和4年2月5日発行)

*2 2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、2030年までの達成を目指す国際目標。Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) の略称。17の目標と169のターゲットが示されている。

*3  コロナ禍の中で出産した女性は心理不安が増大_済生会横浜市東部病院および東邦大学ら研究グループによる調査結果