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目が見えない、見えにくい赤ちゃんと絵本(2)/障害のある方への対応を考えるために 7

目が見えない、見えにくい赤ちゃんも、絵本を読んでもらうことが大好きだとわかった私たちは、筑波大学附属視覚特別支援学校幼稚部の高見節子先生に、絵本の楽しみ方や絵本選びについて教えていただきました。

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見えない、見えにくい赤ちゃんとの絵本の楽しみ方

先生は、「ゆったりとした気持ちで語りかけるだけでも十分楽しめますが、言葉のリズムに合わせて、赤ちゃんをひざの上で揺らしてあげるなど、身体を動かしながら読むと、より楽しさが広がりますよ」とお話しされました。

▼身体を使った絵本の楽しみ方の例(アドバイス ブックレット「赤ちゃんといっしょに はじめまして絵本」より)

また、絵本に登場するものを触ったり、出てくる動作を真似しながら読むのもおすすめだそうです。例えば、育児学級では、『くだもの』(作/平山和子 福音館書店)であれば、実物や果物の模型を用意して触りながら読んだり、『どうすればいいのかな?』(文/渡辺茂男 絵/大友康夫 福音館書店)のような、着替えなど生活体験が描かれている絵本は、その動作を実際にやりながら読んで楽しんでいるそうです。

▼育児学級にあった果物の模型


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絵本選びのポイント

絵本を選ぶ時は、
●食事、お風呂などの生活体験が描かれている
●乗り物や動物など、子どもが興味や関心を持っていそうなことが描かれている
●自分が読んでもらって楽しかった絵本
などを参考にするとよいそうです。

そして、弱視のお子さんの場合は、
●背景とのコントラストがはっきりしている
●対比しやすい色づかいや濃い色の線などにより輪郭が明確
●形がシンプル
●背景が少ない
といった、絵柄の見やすさも大切になるということでした。

こうした、絵本選びや楽しみ方のポイントはあるものの、先生は、「絵本選びに迷ったら、お父さんやお母さんが読んであげたいと思うものでいいんですよ。ご自身が楽しみながら読むのが一番です。赤ちゃんにとって、読んでくれる人の声は心地よいもの。楽しい気持ちが伝わって赤ちゃんが笑顔になると、それはお父さん、お母さんの力にもなるんですよ。」とおっしゃいました。

実際に、あるお母さんからはこんな話も聞けました。
「お気に入りの絵本を読む時、子どもは、大好きなフレーズが近づくとニコニコし始め、いざ読むと、声を出して嬉しそうにします。おかげで私もそのフレーズがとても楽しみになりました。我が子のいろいろな様子が見られる絵本の時間は、成長を感じるひとときでもあります。」

筑波大学附属視覚特別支援学校への訪問は、私たちが「障害がある場合でも、share booksのひとときを持つことができる」ということを実感させていただいた、貴重な体験となりました。

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▼連載「障害のある方への対応を考えるために」その他の回を読む
1. 読書バリアフリー(1)
2. 読書バリアフリー(2)
3. 「てんやく絵本」との出合い
4. 障害ってどういうことだろう?
5. 障害のある赤ちゃんや保護者について
6. 目が見えない、見えにくい赤ちゃんと絵本(1)
7. 目が見えない、見えにくい赤ちゃんと絵本(2)※本稿
8. 聞こえない、聞こえにくい赤ちゃんと絵本
9. 聞こえない、聞こえにくい保護者と絵本

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*「障害」の表記について
当NPOでは、「障害」の原因が「個人が持つ心身機能など=個人モデル/医学モデル」ではなく、機能障害に対応できない「社会の側にある=社会モデル」という「障害者権利条約」の考え方に基づき、「障害」及び「障害のある」と表記しています。