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「ぐりとぐらのカステラ」Y.Nさん/寄稿 絵本のひととき

世界中の子ども達に愛されてきた『ぐりとぐら』(作:中川李枝子 絵:大村百合子/福音館書店)。我が家の1歳と3歳半の娘もこの本が大好きで、おなじみの「ぼくらのなまえはぐりとぐら、この世で一番すきなのは」という歌を、我が家風(「どうしておなかがすくのかな」風)のメロディーで、自分と妹の好きなことに置き換えて口ずさんでいます。

フライパンの蓋をあけて大きなカステラを分け合う幸せなページでは、娘達も本のカステラをつまんでお互いの口に「どうぞめしあがれ、小さいほうが妹の。大きなのはお姉ちゃんのよ。」と入れあいます。お姉ちゃんはまじめ顔で長い時間このページに見入ってどの動物のカステラが一番大きいか調べている様子。「今日はわにさんのカステラが一番大きい!前はぞうさんのが大きかったのに」と言いながら本に鼻をおしつけてカステラの匂いをかいでいます。

ある日、娘のお友達と一緒にフライパンでぐりとぐらのカステラを作ってみました。お腹をすかせて焼きあがるのを待ちながら、皆で自分のうちの「ぐりとぐら」の歌を歌ってみたら皆それぞれ違っていてまた楽しい。頑張って泡立てたカステラは、蓋を開けてみたら、絵本ほどには膨らみませんでしたが、なかなかの出来栄え。もちろん食べるときはナイフで切ったりなんかせずに「おいしいねぇ、あまいねぇ」と直接指でつまみながら口に放り込んで食べました。殻になった卵をみて、娘は「こんなに小さいと車ができないね。今度はもっと大きい卵で作ろうね」と想像をふくらませていました。

今夜もまたベッドで「ぐりとぐら」を読み終えると、娘はカステラを食べているページに戻り、全員にカステラが行き渡っているのを確認して安堵のため息をつき、私は「ねぇ、もういっかいよんで!」「今度はカステラ外でたべたい、おなかすいた!」の声を聞かないふりをして、電気を消すのでした。

※本稿はブックスタートニュースレター16号へのご寄稿を転載したものです。