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「お兄ちゃんは、おはなし名人」Y.Sさん/寄稿 絵本のひととき

2歳半の長男は絵本が大好き。絵本を読んでくれそうな人をみつけては、お気に入りの絵本を小脇に抱えニコニコしながら近寄っていきます。

2歳になってまもなく私の出産のため初めて一人で実家に泊まることになった長男は、毎晩「もいっかい、もいっかい」を繰り返し、バーバの声がかれるほど何度も絵本を読んでもらい眠りについていたとのこと。次男を連れて実家に戻った日、そんな長男が「弟」に真っ先にしたことは大好きな絵本を読んであげることでした。

バーバに読んでもらっていた『きりかぶ』(作:なかやみわ/偕成社)のシリーズ3冊を抱え、玄関で私たちの到着を待っていたのです。長男は『きりかぶ』の登場人物たちについて、「きりかぶさん、えーんえーん」「ありちゃん、ぶーらん(ブランコ)してるねー」「ほら、なわとびしてるのよ」などと身振り手振りを交えて弟に解説。そしてネズミの結婚式の場面では、主役の新郎は自分なのだと説明し、続けて高らかになぜかハッピーバースデーの歌…。「次はこれ」と言いながら3冊を繰り返し読んでくれました。

まだ甘えたい盛りの長男が突然現れた弟にどのように接するのか不安だった私は、楽しそうに弟に絵本を読んであげている長男を見て嬉しくて、そしてジワリと涙がでてきたのでした。

弟が生まれるまで‘聞き手’だった長男は‘読み手’となり、「タカボーチャーン(次男)、こっちみてー」と言って絵本を読み続けています。2歳の長男が字を読めるはずはなく絵を見ながら記憶に残っている言葉を発しているだけなのですが、私の想像以上にお話の内容を理解し多くの言葉を覚えていたこと、そして想像力豊かなことには驚かされ、あらためて育児の喜びを感じることもできました。

次男が泣いているとあわてて駆け寄りベビーベットの柵越しに絵本を読む長男。ピタリと泣き止んでお話を聞いている様子の次男。そんな2人を眺めている時間が、私のいま一番心安らぐ幸せなひとときです。

※本稿はブックスタートニュースレター17号へのご寄稿を転載したものです。