87.4%の自治体が、赤ちゃんに絵本をプレゼント
誕生した赤ちゃんにお祝いを贈る自治体の中には、そのプレゼントの一つとして絵本を手渡しているところがあります。
当NPOでは、2020年より毎年、各自治体における「赤ちゃんへの絵本贈呈事業」(ブックスタート事業を含む)に関する全国調査を実施しており、このたび2024年度の調査結果がまとまりました。その結果、87.4%の自治体で、当該自治体に暮らす赤ちゃん全員を対象に絵本を贈呈する事業が実施されていることが分かりました。あわせて実施状況や実施方法など、各自治体の事業運営における工夫や課題についてもまとめました。
■ 調査概要
内容
自治体在住の赤ちゃん(0~1歳児)全員を対象に、絵本を贈呈する事業の実施状況
※ 読みきかせの「体験」と「絵本」をセットにして贈呈するブックスタート事業のほか、絵本贈呈のみを行う事業についても調査。
対象
全国の自治体(1,741市区町村)※区は東京23特別区
方法
自記式質問紙調査
① 当NPOを通じてブックスタートを実施している自治体(1,118市区町村)
_「実施状況確認シート」
② ①以外の自治体(623市区町村)
_「赤ちゃんへの絵本贈呈事業」に関する全国調査質問票
時期
2025年2~3月
回収数
1,645市区町村(94.5%)
※以下は、「赤ちゃんへの絵本贈呈事業」に関する全国調査2024結果報告の内容を一部ご紹介しています。詳細はこちらよりご確認ください。
■ 結果① 実施状況
・ 全国の87.4%にあたる1,522区町村が、赤ちゃんへの絵本贈呈事業を実施。
・未実施自治体(122市区町村)のうち、20市町村が来年度以降実施予定・検討中と回答。
■ 結果② 実施方法
・主管部署は「図書館・図書室」および「生涯学習課・社会教育課など」が6割以上だったが、「母子保健担当課」および「子育て支援担当課」が事業を担当している自治体も3割以上あった。
・実施機会は、母子保健関連(集団健診、健康相談・育児相談、家庭訪問など)の機会が8割以上だった。
■ 結果③ 赤ちゃんへの絵本贈呈事業における工夫
・贈呈事業後も継続的に家庭で読みきかせの時間がもたれるよう、手渡す絵本や資料を工夫するほか、図書館・子育て支援センターなど地域とのつながりをもてるよう配慮している自治体もあった。
・対象となるすべての親子に手渡せるよう、周知に注力したり、日本語以外を母語とする親子への対応を工夫している自治体もみられた。
<自由記述回答より(抜粋)>
*実際に絵本を読んでもらったときの赤ちゃんの反応に驚かれる保護者が多いので、 必ず一人ひとりの赤ちゃんに向けて読みきかせを行っている。(図書館)
*フィリピンの方がいたので、タガログ語の資料を手渡したら涙ぐんだようにして喜んでいた。(子育て支援)
*各地区の民生・児童委員が訪問で絵本の配付を行うことで、地域とのつながりを深めている。(子育て支援)
■ 結果④ 赤ちゃんへの絵本贈呈事業における課題
・課題について言及している自治体は多くなかったが、課題として最も多くあげられていたのは、人材(ボランティア)で、ついで予算だった。
・コロナ禍の影響により、従来実施していた贈呈時の読みきかせが再開できないことを課題としてあげている自治体も一部見られた。
<自由記述回答より(抜粋)>
*読みきかせの場を健診会場で設けたいが、場所や健診時間の調整が課題である。(母子保健)
*健診の未受診者に対して絵本のプレゼントができていない。(子育て支援)
*ボランティアの確保と、やりがい・モチベーションの継続が課題。(母子保健)
*予算の確保が難しい。(図書館)
■( 参考) 贈呈事業以外の「赤ちゃんと絵本」に関する取り組み
・図書館だけでなく、保健センター、子育て支援センター、商業施設などさまざまな場所で、乳幼児対象の読みきかせや絵本にふれられる環境づくりを行っている自治体があった。
<自由記述回答より(抜粋)>
*図書館でのおはなし会で、保健師・保育士による相談等を年1回実施。(図書館)
*乳幼児健診での、母子保健推進員による絵本の貸出などを行い、絵本とふれる機会を作っている。(母子保健)
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実施している自治体や都道府県ごとの状況については、全国の実施状況をご覧ください。