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[立命館大学] 福祉を学ぶ学生と「赤ちゃんが幸せに育つ社会」を考える

2025年12月8日、立命館大学 産業社会学部 人間福祉専攻の学生に向けて、ブックスタートの実践から福祉を考える特別講義を、当NPO職員が行いました。お声掛けくださったのは、産業社会学部教授の篠原郁子さん。125名が受講する「人間発達論」と、少人数演習「プロジェクトスタディ」の2コマを担当しました。

「赤ちゃんが幸せに育つには、何が必要だと思いますか」
1コマ目は、「人間発達論」。乳児期から青年期までの発達を概観する科目で、将来、自治体職員や社会福祉施設などへの就職を目指す学生が多く受講しています。

今回の講義では、発達を「個」のみならず「関係性」や「社会との関わり」から捉える視点を学生の皆さんと共有したいと考えました。
そこで、

・赤ちゃんが人と心を通わせる経験は、その後の発達と人生を支える基盤となること
・ブックスタートは、その基盤づくりを社会として支えるしくみのひとつであること

にポイントを置いてお話ししました。

講義冒頭と講義後には、「赤ちゃんが幸せに育つには何が必要だと思いますか」という問いを投げかけ、ライブアンケートを実施。ワードクラウドという方法で、回答の多かったキーワードを画面に表示しました。
冒頭では「愛情」「栄養」「保護者」などの回答が大きく表示されていましたが、ブックスタートについてのお話を聞いていただいた後には、

「コミュニケーション」
「親子を支える周囲の人」
「自治体や市町村の協力」
「関わる人が幸せであること」

など、赤ちゃんの幸せをより広い視野で捉える回答が加わりました。


終末のライブアンケート結果。学びを長文で回答してくれた学生も。

多様性を包み込む社会をつくるには
少人数演習「プロジェクトスタディ」は、通常はジェンダーに関する論文講読を行っていますが、学生から「ジェンダー以外の多様性についても考えたい」との声が挙がっていたそうです。

そこで今回の講義では、ブックスタート事業の自治体担当者になったつもりで、多様な親子を想定した「事業改善案」を考えるワークを取り入れました。

<想定した5つのケース>
・父子家庭の親子
・日本語以外を母語とする親子
・母親が視覚に障害のある親子
・赤ちゃんが聴覚に障害のある親子
・孤立した状態で双子を育てる親子

これらについて、「手渡すもの」「伝える内容や伝え方」「場づくり」「協力者や連携先」という4つの視点から、画一的でない関わりや工夫を具体的に考えました。


各グループに配布したセット。それぞれのケースをイメージしやすいよう、保護者からの「手紙」も用意しました。

「読みきかせのコツを、父親視点で紹介した資料があるとよいのではないか」
「留学生に協力を求めれば、通訳や資料の作成などで力を貸してくれるかもしれないし、留学生にとっても日本人と交流ができる」
「周囲の目が気になる人もいるかも。個室やパーテーションを用意して、希望する人が選択できるようにしては」

皆さんから出されたアイデアはどれも、実際に活動に携わる人たちに伝え、生かしていきたいと思うものばかりでした。

大学でブックスタートを伝えるということ
今回ご一緒したのは、日常的に「福祉」について学びを深めている学生の皆さんでした。そのため、ブックスタートの福祉的側面――「すべて」の赤ちゃんの幸せに、社会が責任をもって取り組む活動であること――を深く理解してくださったように思います。

<学生の感想>
「ブックスタートは、絵本を読む経験を提供する場であると同時に、親子のニーズを発見し、支援につなげる場でもあるのだと感じました。」
「外国籍の親子、障害のある親子など、本を渡すだけでは届かないケースがたくさんあることを実感しました。どんな人も楽しめるためには、多くの工夫が必要だと学びました」
「親や赤ちゃんだけを見るのではなく、社会や関係機関を含めた広い視点で考えることの大切さに気付きました」

* * *

皆さんの感想を拝読し、大学でブックスタートを伝えることの意味を、私たち自身が改めて考えています。それは、未来の福祉や子どもの育ちを支える人たちと共に、「赤ちゃんの幸せのために社会として何ができるか」という問いを、自分ごととして考える場をつくっていくということなのかもしれません。