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絵本は「読めれば」楽しめる? ~母語・母文化を尊重する意義

 
ブックスタートには、日本語以外を母語とする外国人親子もやってきますが、
プレゼントされる絵本は、基本的に「日本語」のものです。
 
文字も少なく、ひらがなで書かれている、赤ちゃん向けの絵本。
簡単な日本語さえ読めれば、誰もが楽しめるのでは……?
 
私たちは、そう考えていました。
 
 

 
 
実際に、外国人親子からも、絵本のプレゼントは喜ばれていましたし、
自治体からもそれ以上の対応を求める声はなかったのです。
 
しかし、今から5年ほど前、その考えを改める必要があると気づきました。
 
きっかけは、日本語教育と多文化教育の専門家である、元法政大学教授の山田泉先生との出会いです。
先生は、私たちに、以前韓国で訪れた多文化サービスに力を入れている図書館と、
そこで出会ったお母さんの話をしてくださいました。
 
先生が訪れた図書館には、その図書館の「願い」を象徴するものがあったそうです。
 
それは入口に置かれた「サイン帳」です。
そこには「親が母語・母文化を子どもに伝えることは義務である」といった内容の宣言が記載されていました。
宣言に同意した人は、署名した上で図書館を利用します。
 
図書館では、海外から移住してきた人が、社会に適応できるよう、韓国語の学習サポートを行っていました。
一方で、利用者が自分の「母語」で絵本を手づくりするなど、
その方の「母語」を大切にする取り組みにも力が注がれていました。
それぞれの人のアイデンティティ形成に大きく関わる「母語」を尊重することで、
利用者が「自分自身を尊重」できるようサポートしていたのです。

 
先生はそこで我が子と「母語」で絵本を楽しむお母さんを見かけた時、ハッとしました。
 
外国語でも、絵本は読めるかもしれない。
しかし、「母語」だからこそ「素」の自分となり、自己肯定感を持って、
子どもに語りかけることができるのではないだろうか。
お母さんの表情から、先生はそうしたことを感じたそうです。
 
先生のお話を通じて私たちは、日本語以外を母語とする保護者が「日本語で絵本を読む」ときのサポートに加えて、
保護者自身が話しやすい言語で絵本を楽しめる「環境を作ること」も重要だと考えるようになりました。
そのためにまずは、ブックスタートで手渡す日本語の資料に「母語でも自由に楽しんでください」と書き添えることから始めたのです。
 
日本に暮らす外国人親子は年々増えています。
その状況や環境は多様ですが、どの親子も、絵本を介したひとときを、心から楽しめるように――。
 
当法人では、保護者に向けた多言語資料の更新を進めています。
日本語以外を母語とする保護者と絵本について、みなさんのお考えやご経験もお聞かせください。

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